バッハ 2CD
無伴奏チェロ組曲(全曲) 第1番〜第6番
ピエール・フルニエ(チェロ)
録音:1960年

バッハの無伴奏チェロ組曲について、カザルス盤を別格にすれば、この1960年のフルニエ盤が長年決定盤と言われてきました。心技体すべてが充実した素晴らしい演奏で、ここに鳴る音には魂を激しく揺さぶられる思いです。内に熱い情熱を秘めながら、それを剥き出しにするのではなく、高貴な香り漂う気品はやはりフルニエならではのものです。録音も素晴らしいです。

高貴で優美。この曲のスタンダードともいうべき演奏だ。フルニエの香り立つチェロの響きを通してバッハの内的世界が自ら語り始め、音楽のありのままの姿が現れる。感傷趣味や情念的な思い入れからは程遠い、楷書風のアーティキュレーションによってこの曲の構造と真の姿が浮き彫りにされていく。音楽は貴族的な優雅さにあふれ、間然するところがない。フルニエの演奏の貴族的な端正さは、この曲が持つ荘厳、優美、詩情、瞑想、思索、祈り、といったバッハの音楽の多様性を原形のまま表出するのに役立っている。この曲にはカザルスを筆頭に個性的な名演がいくつもある。これらの名演奏を散々聴いたあとで、フルニエを聴くと爽快ですっきりとした気分になれる。それは、豪華な食事をたらふく喰い、美酒を飲み尽くしたあとで、冷たい天然の湧水を飲んだときの気分に似ている。マスタリングも素晴らしく、優美で芳醇なチェロの響きが見事に再現されている。

フルニエは1976〜77年にフィリップスに再録音しており、そちらも同格の名演です。ただし、そちらは希少盤なので価格高騰気味です。

バッハの無伴奏チェロ組曲や無伴奏ヴァイオリン、ゴールドベルク変奏曲などはとても名曲なので数種類のCDを聴き比べるのもクラシックを聴く醍醐味でしょう。

輸入盤【廃盤】盤面傷無し
プラケース少しすれあり

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