1960年代にツィギーなどと共に、スーパー・モデルとして一斉を風靡したヴェルーシュカ。ファッションや映画の世界に詳しい人なら説明の要はないかもしれませんが、例えば、アントニオーニの『欲望』という映画の冒頭と最後にモデルとして登場するのが彼女です。

本名はヴェラ・レーンドルフ（彼女の父親はヒトラーの暗殺計画に関わりのあった人だと仄聞しました）。その彼女が、1980年代に写真家のホルガー・トリュルシュと組んで作った写真集が、この一冊です。表紙写真が物語っているように、これは、裸のヴェルーシュカにボディ・ペインティングを施して撮影された作品集で、特に、風景に溶け込む「擬態」のようなイメージ群に鮮烈な印象を受けます。序文は、あのスーザン・ソンタグ。巻末には、トリュルシュによる撮影プロセスについての文章や、その過程を記録した写真なども掲載されています。

ヴェルーシュカが、ファッションや映画の世界ではなく、美術の世界で回帰してきたと言うことで、当時欧米では大きな話題になりました。シンディ・シャーマンや草間彌生の仕事などと通底する部分もあり、ヴェルーシュカ・ファンのみならず、広く写真や現代美術に関心のある方にもおすすめの一冊です。

1987年の初版で、随分と時間が経っていますが、それを考えると奇跡的にいい状態の一冊です。若干、表紙カバーにヨレがあり、ヤケもほんの少し認められますが、全体として極めてコンディションがよく、このような状態での入手は現在、ほぼ不可能と思われます。

#ヴェルーシュカ　#スーザン・ソンタグ

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