サイズ：最大経約 22 cm

こちらは、明治時代に作られた精美な横浜絵付けの磁器であり、アメリカから里帰りしたもので、約130年以上の歴史を持つ作品です。

山下民松の作品は非常に希少であり、特に貴重なものとされています。この作品は完成度が非常に高く、全体に彩色と金彩が施されており、画力の深さがうかがえます。作品の中央には、浮世絵の名作「藤原保昌月下弄笛図」が描かれており、人物の表情は見事に表現され、爪の細部までがはっきりと描かれています。また、人物の衣装に施された紋様は非常に細かく描かれており、画面全体に動的な印象を与えています。遠景には静かな月と朧げな月光が描かれており、その時代の雰囲気が見事に表現されています。さらに、夜風に揺れる小さな花や草が、画面に一層の臨場感を与えています。

画面の縁にはさまざまな紋様や図案がぎっしりと描かれ、甲冑、兜、武器、大名城、雲など、想像し得るあらゆる要素が盛り込まれています。この作品は、非常に手間と時間をかけて作られたもので、画面が非常に複雑で繊細な描写が施されていることから、明治時代の何らかの展覧会で、作者の技巧を披露するために制作されたと推測されます。

この作品は完成度が非常に高く、経験豊富な人なら一目で超一級品とわかる逸品です。保存状態も極めて良好で、百年を経てもなお金彩が燦然と輝いており、代々受け継がれるべき貴重な作品です。

資料によると、山下民松の作品は非常に希少であり、特にその高い完成度と卓越した技術で知られています。明治時代、多くの横浜絵付けの陶器は輸出を目的として制作されていましたが、山下民松はその中でも際立った存在であり、彼の作品は国内外で高く評価され、輸出を通じて当時の海外市場でも珍品として扱われました。
特に、万国博覧会などの国際展覧会で、山下民松の作品は展示された可能性が高く、日本の工芸の卓越性と革新性を示すものであったと考えられます。彼の作品は、複雑な描画技法や精緻な金彩、そして浮世絵の題材を巧みに取り入れた点で有名です。これらは、当時の日本が西洋市場をどのように理解していたかを示すだけでなく、明治時代の日本工芸美術がいかに細部にまでこだわり、文化的表現を重視していたかを反映しています。
このような作品は、日本の陶芸史や輸出工芸を研究する上で重要な資料となっています。

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